キウイフルーツを食べると肌のビタミンCは増える?皮膚組織の分析研究

※この記事は 約8分 で読めます。

肌にビタミンC(アスコルビン酸)を届けることは、コラーゲン合成や紫外線対策の観点から注目されてきましたが、実際に皮膚組織そのもののビタミンC量を測定した研究はほとんどありませんでした。
そのため、ニュージーランドの研究チームは、健常者の皮膚と血液を用いた調査、および8週間のキウイフルーツ摂取による介入研究を通じて、食事由来のビタミンCが肌にどう届くのかを確かめました。

  • 肌の真皮と表皮ではビタミンCの蓄積量が大きく異なる可能性
  • 血中のビタミンCが増えると、肌の密度や細胞の変化が見られる場合がある
  • 一方で、肌の弾力性など変化が見られなかった機能もあった

※本記事は、科学的知見や専門家の知見、研究データの紹介を目的としており、医学的アドバイスではありません。
診断や治療については、必ず専門医にご相談ください。
また、本記事は執筆時点の情報をもとに作成しています。最新の情報については、必ずご自身でご確認ください。

用語解説

ビタミンCの化学名

皮膚を構成する層。外側が表皮、その内側が真皮

真皮に存在し、コラーゲンなどを作り出す細胞

「ナトリウム依存性ビタミンCトランスポーター」:血液中のビタミンCを細胞内に取り込む輸送体

細胞増殖の指標となるタンパク質

ビタミンC(アスコルビン酸)は肌のあらゆる層に存在し、これまでの試験管内研究では、線維芽細胞によるコラーゲン合成や、紫外線によって肌に生じる有害物質の除去、表皮細胞の増殖・分化を助けると示されてきました。
そのため、肌のビタミンCを増やせば「肌の健康」が改善し、加齢による変化も抑えられると考えられ、化粧品などによる肌への直接塗布の研究開発が盛んに行われてきました。
一方で、血液から肌へのビタミンCの受け渡しは、「SVCT(ナトリウム依存性ビタミンCトランスポーター)」と呼ばれる輸送体を介して管理されていることも分かっています。

これまでも、経口摂取したビタミンCが肌機能に与える影響を調べた栄養介入研究は複数ありましたが、肌そのもののビタミンC含有量を測定した研究はありませんでした。
また、補給後に肌のビタミンCを測定した研究は1件のみで、疾患や肌機能との関連まで踏み込んだ研究はこれまで存在しませんでした。

そこで研究チームは、真皮や表皮を対象にして、血漿と肌のビタミンCレベルの関係を確かめる調査を行いました。

研究は、大きく分けて2つのパートで構成されています。

横断研究

  • 手術を受ける予定だった健常な同意済み参加者から採取した皮膚組織と、対応する空腹時血液サンプルを用いて、血漿と皮膚各部位のビタミンC量の関係を調査
  • 患者情報として性別・年齢・民族・皮膚切除部位を記録し、血液サンプルは氷上で直ちに処理

8週間の食事介入試験(2拠点で実施)

血中ビタミンC値のベースラインが低めの参加者を対象に、8週間にわたり1日2個のサンゴールドキウイ(1日あたり約250mgのビタミンCに相当)が提供されました。

項目拠点I(ニュージーランド)拠点II(ドイツ)
参加者数スクリーニング32名→組み入れ12名スクリーニング28名→血漿アスコルビン酸が最も低い12名を組み入れ
採取方法大腿上部の日光が当たらない部位から3mmパンチ生検による全層皮膚生検吸引水疱法により表皮(水疱蓋)と体液(水疱液)を採取

主な基準は以下のとおりです。

  • 対象:血中ビタミンC濃度が平均以下の健常な成人
  • 除外:キウイフルーツへのアレルギー、糖尿病、皮膚疾患、出血性疾患、高度肥満(BMI35超)、日常的に果物・野菜を多く摂取している人など

測定方法

  • 血中・皮膚中のビタミンC量:高速液体クロマトグラフィーで測定
  • 皮膚密度:超音波機器(DUB SkinScanner75)で測定
  • 皮膚弾力性:専用機器(Cutometer MPA 580)で測定
  • 表皮細胞増殖:Ki-67というタンパク質の染色強度で評価

横断研究では、真皮のビタミンC量が肌全体の値とほぼ一致していた一方、表皮の値は真皮より高く、真皮の約2倍であることが分かりました。
また、肌のビタミンC量は血中のビタミンC量と関連しており、特に表皮では血中の値に応じて明確に変化する傾向が見られました。
肌のビタミンC量には個人差が大きかったものの、年齢・性別・日光曝露との関連は見られませんでした。

続く8週間の摂取試験では、以下の変化が確認されました。

  • 血中ビタミンCが飽和するまで摂取を続けた参加者では、肌全体のビタミンCが全員で増加した
  • もう一方の拠点でも、血中・水疱液・水疱蓋のビタミンCがはっきりと増加した
  • 皮膚密度は明確に増加した
  • 表皮細胞の増殖を示すKi-67の染色強度も明確に増加した
  • 一方、肌の弾力性はわずかに(約7%)低下し、紫外線への防御力やコラーゲン合成の指標には変化が見られなかった

この結果から言えること

  • 食事からのビタミンC摂取を増やすことで、肌(特に表皮)のビタミンC量が血中の値に応じて増加する可能性があると考察されている
  • この変化は、線維芽細胞によるコラーゲン合成や表皮細胞の増殖・分化を支える仕組みが整った可能性を反映していると考察されている
  • 食事からのビタミンC摂取の増加は、肌の各層への「効果的な取り込み」と「肌機能への恩恵」をもたらす可能性があるとされている

この結果だけでは言えないこと

今回の結果だけでは、この変化がどの程度確実で、誰にでも当てはまるとまでは言い切れません。理由は次のとおりです。

  • 対照群(プラセボ群)を置かない前後比較デザインであり、「パイロット研究」と位置づける小規模な予備的研究である
  • 介入研究の参加者数は各拠点12名と少なく、拠点IIの主要な解析ではさらに少ない7名で行われている
  • 同じ指標でも、どの参加者を対象に解析するかによって結果の見え方が変わる場合がある (※)
  • 肌と血液の関係を調べた横断研究の参加者は9割超がニュージーランド系ヨーロッパ人であり、異なる集団にそのまま当てはまるかは確認されていない

これらの点から、今回示された変化がどこまで一般に当てはまるかを確認するには、より大規模で対照群を伴う研究が必要と考えられます。

※水疱蓋のビタミンC量は、全参加者での解析では明確に変化したとはいえなかったが、条件を満たした参加者に絞った解析では変化が見られた。
逆に皮膚弾性は、全参加者での解析では明確に低下が見られたが、条件を満たした参加者に絞った解析では変化がみられなかった。

これまで、経口摂取したビタミンCが肌の機能に与える影響を調べた研究は複数ありましたが、肌そのもののビタミンC量を測定した研究はほとんどなく、補給後の変化を確かめた研究も1件のみで、疾患や肌機能との関連まで踏み込んだ研究はありませんでした。

今回の研究は、この空白を埋める形で、食事からのビタミンC摂取が実際に肌の各層、特に表皮にどう届くのかを直接示しました。
一方で、対照群(プラセボ群)を置かない小規模なパイロット研究であることや、解析対象によって結果の見え方が変わる項目があったことから、今回の知見がそのままどんな人にも当てはまると言い切ることはできません。

今後、より多くの参加者を対象とした確認研究が行われることで、食事からのビタミンC摂取と肌の変化との関係がより明確になっていくと考えられます。

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※本記事は、国際的な学術誌『Journal of Investigative Dermatology』に掲載された海外の査読済み論文および一次研究データに基づき、科学的エビデンスを確認した上で執筆されています。

論文情報

資金提供

資金提供元:本研究は、Zespri International Ltd9本研究で使用されたサンゴールドキウイの商標を持つ企業)、University of Otago Research Grant、および大学の内部資金から資金提供を受けて行われました。論文の免責事項には、資金提供者は研究デザイン・データ解析・原稿執筆・発表の意思決定のいずれにも関与しなかったと明記されています。
利益相反:著者らは利益相反がないと述べています。

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