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朝起きたとき、見ていた夢があまりに現実離れしていて、驚いたことはないでしょうか。
夢は、その日に見たものや体験したことが、そのまま出てくるものだと思われがちです。
しかし実際には、その人自身の性格や特徴によって、特定のパターンがあるとのことです。
イタリアの研究チームが、200人以上の夢の内容と実際に体験した出来事を、最長4年間の追跡調査を実施したところ、夢に意味を求める人や、普段から関係のない考えが浮かびやすい人ほど、より非現実的な夢を見やすい傾向があることがわかりました。
この記事を読んでわかること
- 夢は実際に体験した出来事と比べて、非現実的な内容になりやすい傾向があった
- 個人の特徴によって、夢の内容が変わる場合がある
- 生活に影響するような社会的な出来事も、夢の内容に影響していた
本記事は、科学的知見や専門家の知見、研究データの紹介を目的としており、医学的アドバイスではありません。
診断や治療については、必ず専門医にご相談ください。
また、本記事は執筆時点の情報をもとに作成しています。最新の情報については、必ずご自身でご確認ください。
用語解説
心理学において、今取り組んでいる作業や目の前の出来事から意識が逸れて、自発的に別の考えが浮かんでは移り変わっていく現象を指す言葉です。ぼんやりしているときや単調な作業をしているときに起こりやすいとされ、意図して何かを考える思考とは区別されます。
大量の文章データを学習し、人間の言葉を理解したり、文章を生成したりできるAIの一種です。(代表例:ChatGPT / Geminiなど)本研究では、LLaMA3、ChatGPT-4、ChatGPT-4 Turboという3つの大規模言語モデルが使われました。
図形や物の形、配置といった視覚的な情報と、その空間的な位置関係を組み合わせて覚えておく力のことです。

著者:SHO|鍼灸師
豪華客船の専属鍼灸師として、40ヶ国160都市以上を巡り、世界中のクライアントを治療してきた経験を持つ治療家。
「なぜあんな夢を見たのだろう?」その謎を、AIを使った大規模調査が解き明かす
夢は誰しもが見るものですが、内容は人によってまったく違います。
これまでは、日中出会った人や場所、出来事が形を変えて夢に現れ、記憶を整理したり感情を調整したりする役割を担っているものだと考えられてきました。
ただし、夢は現実をそのまま再生するわけではなく、個人差が生まれやすい現象だとされています。
しかし、今までの研究では、個人の性格や特徴との関係性は、十分に検証されていませんでした。
また、少人数の調査が中心だったこともあり、社会全体を揺るがすような出来事が、夢に与える長期的な影響もわかっていませんでした。
そこで研究チームは、イタリアに住む健康な成人を対象に、2020年から2024年までの4年間にわたり、207人から夢と実際に体験した出来事を記録した長期調査と、外出制限が厳しかった2020年春に、80人を対象とした2週間の短期調査を行いました。
この大規模なデータセットとAI(大規模言語モデル)を用いて、夢と覚醒時の違い、個人特性の影響、そして社会的な出来事が夢に与える長期的な影響を調べました。
夢の内容を決めていたのは、「個人の特性」と「生活環境」だった
研究の結果、夢は、実際に体験した出来事と比べて、「現実離れした内容」になりやすい傾向があることがわかりました。
夢に登場する話題も、日常とは異なり、動物や自然、仕事や社会に関わる場面が多く、日常の自分の悩みや人間関係から離れたテーマで作られており、頭の中では鮮明でリアルな体験なのに、その内容は普段の生活とはかけ離れていました。
そのなかでも、視空間の記憶力が高い人は物についての描写が多く、若い参加者ほど仕事の話題が多く見られました。
これが、夢を現実離れしたものに感じさせる要因だと考えられます。
また、夢に意味を感じている人や、普段から関係のない考えが浮かびやすい人(マインドワンダリング)、睡眠の質を低く感じている人は、より現実離れした内容の夢を見やすい傾向がありました。
特に、マインドワンダリングが強い人ほど、夢の中で場面が次々と入れ替わる回数が多く、それが現実離れした印象をより強めていると考えられます。
さらに、外出制限が続いていた時期には、行動が制限される場面や人との関わりが、夢によく登場するようになっていました。
そして制限が明けたあとの数年をみると、夢の現実離れは徐々に和らぎ、気分もポジティブな方向に近づいていきました。
つまり、どれくらい現実離れした夢を見るかは、生まれ持った特性だけでなく、その時々の生活環境によっても変わりうるということです。
ただし、これらはあくまで同じ時期に重なって見られた傾向であり、外出制限や時の経過そのものが原因だと証明されたわけではありません。
また、対象もイタリア語を話す健康な成人に限られており、他の言語圏の人や睡眠に何らかの課題を抱える人にも、同じ傾向が当てはまるとは限りません。
「現実離れした夢」に、身構えなくていい理由
今回の調査で見えてきたのは、夢に意味を感じている人や、日常で関係のない考えが浮かびやすい人、睡眠の質を低く感じている人が「現実離れした夢」を見やすい傾向にあるということです。
ただし、現実離れした夢を見て驚いても、おかしいことではありません。
夢は、実際に起きたことをそのまま流しているのではなく、個人の特性や心身の状態、そのときの状況によって、内容が変わります。
なので、同じような毎日を過ごしていても、見る夢は人によって違うのです。
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※本記事は、国際的な学術誌『Communications Psychology』に掲載された海外の査読済み論文および一次研究データに基づき、科学的エビデンスを確認した上で執筆されています。
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長期調査
期間:2020年3月~2024年3月(4年間)
参加者:207名(女性117名/男性90名)、18~69歳(平均34.9歳)
条件:6~8時間の規則的な睡眠、睡眠関連・神経学的・精神医学的疾患の診断なし
除外:睡眠に影響する薬剤の使用、直近6ヶ月のアルコール・薬物乱用歴、妊娠中・妊娠計画中・授乳中
記録:1人あたり15日間、夢の報告1687件・実際に体験した出来事の報告1679件(アクチグラフとボイスレコーダーを使用)
評価:質問紙6項目、検査4項目(視空間記憶、発話量など)
分析:AI3種(LLaMA3、ChatGPT-4、ChatGPT-4 Turbo)による16種類の特徴評価、統計的手法による32グループへの自動分類
短期調査
期間:前半(4/28~5/4)は厳格な外出制限期、後半(5/5~11)は制限緩和期
参加者:80名(女性60名/男性20名)、19~41歳(平均25.6歳)
条件:長期調査と同様(除外は睡眠に影響する薬剤使用のみ)
記録:夢日記のみ使用、報告351件。長期調査と同じAI分析を実施
研究機関:国際共同研究(IMTアドバンストスタディーズ・ルッカ校/サピエンツァ・ローマ大学/カメリーノ大学)
資金提供元:BIAL財団、欧州連合(Next Generation EU)、イタリア大学研究省(MUR)、欧州研究会議(ERC)
利益相反:著者らは利益相反がないことを開示しています。





