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「瞑想を続けても、自分の中で変わった実感がない。」
そう感じている人も多いのではないでしょうか。
マインドフルネス瞑想が心や体に良い影響を与えることは、これまでも報告されてきました。
ミュンヘン大学等の研究では、瞑想経験のない健康な成人を対象に1ヶ月間の瞑想訓練を行ったところ、注意や気づきに関わる「脳の領域同士のつながり」が強まっていたことが分かりました。
この変化は、瞑想を続けることが脳の働き方そのものに影響する可能性を示唆しています。
この記事を読んでわかること
- 1ヶ月の瞑想訓練で、脳にある複数の領域間のつながりが強まった可能性がある
- 変化が見られたのは、主に「注意や気づきに関わる領域」だった
- 脳に変化があっても、本人の自覚には明確な差が見られなかった
本記事は、科学的知見や専門家の知見、研究データの紹介を目的としており、医学的アドバイスではありません。
診断や治療については、必ず専門医にご相談ください。
また、本記事は執筆時点の情報をもとに作成しています。最新の情報については、必ずご自身でご確認ください。
用語解説
何か特定の作業をしていない「ぼんやりしているとき」に働くとされる脳のネットワーク。
変化や重要な情報に気づき、反応するときに働くとされる脳のネットワーク。
注意を向けたり、目的に沿って考えたりするときに働くとされる脳のネットワーク。
公開日:2022年8月2日
掲載誌:Scientific Reports
論文:「 Mindfulness meditation increases default mode, salience, and central executive network connectivity 」

著者:SHO|鍼灸師
豪華客船の専属鍼灸師として、40ヶ国160都市以上を巡り、世界中のクライアントを治療してきた経験を持つ治療家。
瞑想が脳の「ネットワーク」に与える影響とは。その謎を、新しい視点が紐解く。
マインドフルネスとは、判断を加えずに、今この瞬間に注意を向け続ける心のあり方を指します。
これは、マインドフルネス瞑想の実践を通じて培われるとされており、ストレスの軽減や気分の落ち着きなど、さまざまな面での効果が知られてきました。
マインドフルネス瞑想は、意識のコントロールや感情の調整、自己観察といった働きに関わると考えられており、脳の特定の部位に変化が生じることも分かってきています。
ただし、こうした従来の研究の多くは、脳の部位を個別に調べるものであり、それらをつなぎ合わせて全体としての仕組みを説明することは難しいままでした。
近年では、脳の複数の領域が連携して働く「ネットワーク」として捉える視点が、この課題への糸口になると考えられ始めています。
そこで研究チームは、瞑想の経験がない健康な成人を対象に、1ヶ月間のマインドフルネス瞑想訓練による「脳内の複数のネットワーク間のつながり」への影響を調べました。
瞑想を続けた脳では、複数のネットワーク同士のつながりが強まっていた
研究の結果、1ヶ月間の瞑想訓練を行った人では、何か特定の作業をしていない「ぼんやりしているとき」に働く「デフォルトモード・ネットワーク(DMN)」と、変化や重要な情報への気づきに関わる「サリエンス・ネットワーク(SN)」との間のつながりが強まっていました。
このサリエンス・ネットワークは、注意を向けたり目的に沿って考えたりする「セントラル・エグゼクティブ・ネットワーク(CEN)」とのつながりも強めており、同様の変化は言語や思考に関わる脳の領域との間でも確認されています。
これらの変化は、瞑想とは無関係な健康情報プログラムを行った対照群では見られなかったことから、瞑想そのものによる変化である可能性が高いといえます。
一方で、訓練前後の脳全体の平均的なつながりの強さを比較した分析では、こうした変化は検出されませんでした。
つまり、この変化が常に一定して起きているものではなく、限定的なものである可能性を示しています。
参加者自身が回答した「マインドフルネスの自覚」についてのアンケートにも、明確な差は見られませんでした。
ただし、これは「変化がなかった」と証明されたわけではなく、参加者が46人と少なく、この規模の研究では、自覚のようなわずかな変化を統計的に捉えきれなかった可能性が残っています。
また、今回測定されたのは安静時の脳の状態であり、日常生活の中での注意力や気分の変化を直接調べたものではありません。
そのため、脳の測定で変化が見られたとしても、それが日常の中で「実感」として現れるとは限りません。
脳のつながりは変わっても、それは「感じられる」変化とは限らない
今回の研究では、マインドフルネス瞑想を続けることで、「デフォルトモード・ネットワーク」「サリエンス・ネットワーク」「セントラル・エグゼクティブ・ネットワーク」という、脳のネットワーク同士の「つながりの強さ」が変化していたということが示されました。
これは脳を測定して初めてわかる数値上の変化であり、瞑想によって本人が感じる感覚とは異なります。
そのため、日々の生活の中で瞑想の効果を「実感」できていなくても、脳の中では確かに変化が起きている可能性があります。
▼ 関連知識 ▼
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※本記事は、国際的な学術誌『Scientific Reports』に掲載された海外の査読済み論文および一次研究データに基づき、科学的エビデンスを確認した上で執筆されています。
詳しい調査方法が気になる方は、こちらもご覧ください
対象:瞑想経験のない健康な成人46人(女性23人)
参加条件:18~60歳・右利き・過去の瞑想経験がごく少ない成人
訓練期間:31日間(検査間隔は訓練前後で平均約41日)
瞑想訓練群(20人):オンラインで1日10~15分、認定指導者監修の誘導瞑想を実施
対照群(26人):瞑想とは無関係な健康関連トピックの音声・動画コンテンツを使用
自覚の測定:マインドフルネスに関する15項目の質問紙(MAAS)を訓練前後に実施
脳の測定:訓練前後の安静時MRIで、脳内ネットワーク間のつながりの変化を評価
研究機関:ミュンヘン工科大学附属クリニクム・レヒツ・デア・イザール/ミュンヘン工科大学脳画像研究センター/ミュンヘン大学(LMU)/ハイデルベルク大学病院
資金提供元:ドイツ連邦教育研究省(BMBF)
利益相反:著者の一人が、本研究で用いたオンライン瞑想訓練プログラムを商業サービスとして提供





