騒音対策には「睡眠用BGM」より「耳栓」が有効?|睡眠ポリグラフ検査を用いた比較実験

※この記事は 約4分 で読めます。

睡眠時に騒音対策として、睡眠用BGMを流している方も多いのではないでしょうか。

夜間の交通音などの「環境騒音」は、睡眠を妨げ、健康リスクを高めることが知られています。

ペンシルベニア大学が主導する国際共同研究では、「耳栓」が環境騒音による睡眠への影響を軽減した一方で、睡眠用BGMに含まれる「ピンクノイズ」は、むしろ睡眠の質を下げる可能性があることが示されました。

  • 「睡眠用BGM」は、睡眠の質を低下させる可能性がある
  • ピンクノイズは、レム睡眠を妨げる可能性がある
  • 環境騒音の対策としては、「耳栓」が有効だった

本記事は、科学的知見や専門家の知見、研究データの紹介を目的としており、医学的アドバイスではありません。
診断や治療については、必ず専門医にご相談ください。
また、本記事は執筆時点の情報をもとに作成しています。最新の情報については、必ずご自身でご確認ください。

用語解説

ホワイトノイズ(「ザー」というテレビの砂嵐のような音)と同じく幅広い周波数を含む持続音だが、低い音の成分がやや強く、高い音の成分が弱めに調整されている。ホワイトノイズよりも耳あたりが柔らかく感じられることが多い。

ホワイトノイズやピンクノイズのように、幅広い周波数の音を同時に含む音の総称。扇風機やエアコンの音、波音・雨音などの自然音も、性質としてはこれに含まれる。

眠っている間に眼球が素早く動く、比較的浅い眠りの段階。夢を見やすいとされ、記憶の整理や感情の調整に関わっているといわれている。

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著者:SHO|鍼灸師

豪華客船の専属鍼灸師として、40ヶ国160都市以上を巡り、世界中のクライアントを治療してきた経験を持つ治療家。

世界保健機関(WHO)は、睡眠時における夜間の交通騒音レベルは、40~45dBを超えないよう推奨しており、そのような騒音への対策として、YouTubeで「睡眠用BGM」や雨音のような「広帯域音」を寝室で流す方法が世界的に広く使われています。

広帯域音による睡眠促進効果を示すエビデンスは少ないものの、睡眠用BGMに含まれる「ピンクノイズ」は、睡眠を促す効果が期待できると、一部の研究で示唆されてきました。

しかし、睡眠時の騒音対策として、このような「音を流す」対策と、より手軽で安価な耳栓を使った「音を遮る」対策を、厳密に検証した研究はこれまで多くありませんでした。

そこで、ペンシルベニア大学が主導する国際共同研究では、健康な成人25人を対象に、環境騒音への対策として、「耳栓」と「ピンクノイズ」を比較検証しました。

検証の結果、耳栓が環境騒音による睡眠への悪影響をほぼ防いだのに対し、ピンクノイズには効果がなく、むしろ睡眠の質が低下しました。

断続的な環境騒音は、自律神経や脳の広い範囲に覚醒反応を引き起こして深い眠り(N3)を減らす一方、ピンクノイズのような持続音は、レム睡眠の開始や維持に関わる脳の部位を抑制することが考えられています。

また、環境騒音にピンクノイズを組み合わせた夜は、深い眠りやレム睡眠の減少にとどまらず、総睡眠時間や睡眠効率の低下、目が覚めている時間の増加まで起きていました。

これは環境騒音だけの夜にも、ピンクノイズだけの夜にも見られなかった変化で、単純に悪影響が重なった以上に、睡眠全体の質が低下したことを示しています。

ただし、この検証は、実験室で行われたものであり、実際の寝室環境でも同様の効果があるとは限りません。

また、検証されたのはピンクノイズと、限られた種類の環境騒音のみであり、「睡眠用BGM」を検証したものではありません。

周囲の音が気になり、眠れない夜には、YouTubeで自然の音を流して眠ることもあるかもしれません。

今回の検証では、睡眠用BGMに含まれる「ピンクノイズ」は、睡眠の質を下げている可能性が示されました。

つまり、環境騒音への対策としては、「音を流す」よりも、より手軽で安価な耳栓を使って「音を遮る」方が有効だと言えそうです。

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※本記事は、国際的な学術誌『SLEEP』に掲載された海外の査読済み論文および一次研究データに基づき、科学的エビデンスを確認した上で執筆されています。

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実施期間:月曜の夜から翌週月曜の朝までの8日間
実施場所:睡眠検査室
対象人数:健康な成人25人(平均年齢28.5歳 / 21〜50歳 / 男性7人)
参加条件:睡眠用BGMを夜間に使った経験がない人に限定
研究デザイン:条件の順序をランダム化した比較実験
比較条件:対照(騒音なし) / 環境騒音のみ / ピンクノイズのみ / 環境騒音+ピンクノイズ(弱) / 環境騒音+ピンクノイズ(強) / 環境騒音+耳栓
環境騒音の再生条件:1晩93回再生 / 最大音量45~65dB
耳栓の平均減衰量:25.5dB

測定方法

夜間:睡眠ポリグラフ検査(脳波・眼球運動などを記録し、眠りの深さや段階を客観的に判定)
朝:認知機能検査 / 心血管系の測定(血圧など) / 聴力検査 / アンケート(睡眠の質・気分・覚醒度についての自己申告)

研究機関:ペンシルベニア大学(主導) / ヨーテボリ大学(スウェーデン) / ヴァンダービルト大学(米国) / マニトバ大学(カナダ) / ドイツ航空宇宙センター(DLR)
資金提供元:米国連邦航空局(FAA)(代替ジェット燃料・環境局「ASCENT」を通じて提供)
利益相反:金銭的な利益相反はなし。共同著者の一人(マニトバ大学)が、本研究で用いた睡眠測定技術「ORP」の開発者であり特許を保有(学術研究には無償提供)

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SHO|鍼灸師

豪華客船の専属鍼灸師として、40ヶ国160都市以上を巡り、世界中のクライアントを治療してきた経験を持つ治療家。
24歳で全国グループの鍼灸整骨院にて責任者・エリア統括を歴任し、27歳で海外へ。
現在は、13年の臨床経験と海外で培ったグローバルな知見をもとに、世界最前線の情報を精査し、Synclyeeで発信しています。

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