脂質とは?公的基準に基づく「脂肪酸の分類」と「細胞膜・ホルモン生成メカニズム」の解説

生のサケの切り身、アボカド(半分カット・種付き)、小さなガラスの器に入ったMCTオイルのフラットイメージ

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生命維持や身体機能の調整において重要な役割を果たす「脂質」は、効率的なエネルギー源であるとともに、細胞膜やホルモンを構成する主要な生体物質です。
本記事は、国や公的機関(厚生労働省など)が提示する厳格なデータに基づき、脂質の定義、脂肪酸の分類、および体内における生成メカニズムを整理したものです。

  • 公的機関の基準に基づく「脂質の定義と摂取目標量」
  • 医学的な根拠に基づく「脂肪酸の分類」
  • 人体の中で起こっている「脂質の消化・吸収と体内生成メカニズム」

※本記事は公的機関のデータや科学的エビデンスの紹介を目的としており、医学的アドバイスではありません。診断や治療については必ず専門医にご相談ください。
また、本記事は執筆時点の情報をもとに作成しています。最新の情報については、必ずご自身でご確認ください。

脂質とは、水に溶けにくく、有機溶媒に溶ける性質を持つ生体物質です。
厚生労働省などの公的機関において、たんぱく質・炭水化物と並び、生命活動の源となる「エネルギー産生栄養素(三大栄養素)」の一つとして定義されています。
人体の全細胞を包む細胞膜や、身体機能をコントロールするホルモンの構成成分としての役割を担っています。

脂質の摂取目標量

厚生労働省が定める「日本人の食事摂取基準」では、脂質は1日の総エネルギーの「20%以上30%未満」に収めることが目標とされています。
通勤や家事など、標準的な身体活動量(身体活動レベル:ふつう)の成人が、1日に摂取するグラム数の目安は以下の通りです。

  • 成人男性(18~64歳):約51 ~ 90 g
  • 成人女性(18~64歳):約38 ~ 67 g

※日本人の「標準的な体格(参照体重)」をベースに計算した基準値です。
個人の年齢や体重、性別、身体活動量によって、具体的な摂取量は大きく変動します。 
※エネルギー換算係数:1gあたり9kcal 

体内における脂質成分

人体に存在する脂質は、その構造や役割によって主に以下の4つに分類され、体内でバランスが保たれています

エネルギーの貯蔵や体温維持の役割を持ち、体脂肪の大部分を占める脂質です。

細胞膜の主要な構成成分であり、水と油の双方に馴染む性質(両親媒性)を持っています。

細胞膜の安定性を保つほか、ステロイドホルモンや胆汁酸の原料となる脂質です。

中性脂肪が分解されて生じるもので、細胞がエネルギーとして直接利用する形態です。

医学的な根拠に基づくと、脂質の主成分である「脂肪酸」は、分子の構造的な違いにより大きく2つのカテゴリーに分類されます。

飽和脂肪酸

常温で固体になりやすい性質があり、主に動物性脂質(肉の脂身やバターなど)やパーム油などに多く含まれます。
過剰に摂取した場合、悪玉(LDL)コレステロールを増加させることが示されています。

不飽和脂肪酸

常温で液体になりやすい性質があり、植物油や魚の油に豊富に含まれます。
不飽和脂肪酸は、さらに以下のように細分化されます。

▶︎一価不飽和脂肪酸(オメガ9系)

体内で合成することができる脂肪酸。代表例はオリーブ油に多く含まれる「オレイン酸」です。

▶︎多価不飽和脂肪酸

体内で合成できないものを含む脂肪酸。構造や性質の違いにより、さらに2つに分類されます。

・オメガ6系脂肪酸

リノール酸やアラキドン酸などが属し、大豆油やコーン油に多く含まれます。

・オメガ3系脂肪酸

アルファリノレン酸や、魚油に多く含まれるEPA(エイコサペンタエン酸)・DHA(ドコサヘキサエン酸)が属します。

※多価不飽和脂肪酸の一部(リノール酸、アルファリノレン酸など)は体内で合成できないため「必須脂肪酸」として食事からの摂取割合が定められています。

食事から摂取された脂質は、水に溶けない性質を持つため、消化器官を経て体内に吸収され、細胞膜の形成やホルモン生成によって身体のバランス調整の役割を担います。

消化と吸収

脂質の消化・吸収メカニズムの解説図

脂質は、胃を通過して十二指腸および小腸に達する過程で、以下のステップを経て分解・吸収されます。

水に溶けない脂質が十二指腸に達すると、肝臓で生成され胆嚢から分泌された「胆汁酸」の働きにより、細かな粒子に分散(乳化)されます。

乳化されて表面積が広がった脂質に対して、膵液に含まれる消化酵素「リパーゼ」が作用します。
これにより、中性脂肪は「脂肪酸」と「モノグリセリド」へと細かく分解(加水分解)されます。

分解された成分は胆汁酸と混ざり合い、「ミセル」と呼ばれる水溶性の微粒子となって、小腸粘膜の細胞へと運ばれ、細胞膜を透過して吸収されます。
吸収された成分は、細胞内で再び中性脂肪へと再合成され、「キロミクロン」という脂質をタンパク質で包んだ粒子を形成します。
これは門脈(太い血管)ではなく、毛細リンパ管を経てリンパ管へと入り、最終的に静脈へと合流して全身へ運ばれます。

細胞膜およびホルモン生成メカニズム

細胞膜およびホルモン生成メカニズム の解説図

全身に運ばれた脂質(リン脂質やコレステロール)は、細胞膜の形成やホルモン生成としての役割を担います。

すべての細胞を包む細胞膜は、リン脂質が外側と内側に向かい合って並んだ「脂質二重層」という構造を形成しています。
リン脂質の親水性の頭部が外側(水側)を向き、疎水性の尾部(脂肪酸)が内側を向くことで、細胞の内外を明確に隔てる障壁(バリア)となります。
ここにコレステロールが適切に挟み込まれることで、膜の流動性と強度が一定に保たれます。

副腎皮質や性腺に運ばれたコレステロールは、細胞内の酵素の働きによって、ステロイドホルモン(皮質ホルモンや性ホルモン)へと変換されます。
また、細胞膜のリン脂質から切り出された脂肪酸からは、局所で作用する生理活性物質(プロスタグランジンなど)が合成され、体調や体のバランスを整える役割を果たします。

  • 成人の1日あたりの脂質摂取量は男性約51 ~ 90 g、女性約38 ~ 67 gが目標とされている。
  • 脂質成分は、中性脂肪(トリグリセリド)・リン脂質・コレステロール・遊離脂肪酸に分類される。
  • 脂肪酸は動物性脂質に多い「飽和脂肪酸」と、植物や魚油に多い「不飽和脂肪酸(オメガ3・6・9など)」に分類される。
  • 脂質は胆汁酸による乳化と膵リパーゼによる分解を経て小腸で吸収され、リンパ管を経由して全身へ運ばれた後、細胞膜の形成やホルモン生成としての役割を担う。

※本記事は、厚生労働省などの公的機関および、専門学会が策定した各種ガイドラインに基づき、科学的エビデンスを確認した上で執筆されています。

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執筆者・運営責任者

SHO|鍼灸師

豪華客船の専属鍼灸師として、40ヶ国160都市以上を巡り、世界中のクライアントを治療してきた経験を持つ治療家。
24歳で全国グループの鍼灸整骨院にて責任者・エリア統括を歴任し、27歳で海外へ。
現在は、13年の臨床経験と海外で培ったグローバルな知見をもとに、世界最前線の情報を精査し、Synclyeeで発信しています。

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