
※この記事は 約3分 で読めます。
日常の食事で、健康のためにオートミールを取り入れている方も、多いのではないでしょうか。
ドイツ・ボン大学の研究チームによる試験では、オートミールの摂取によってコレステロール値が下がることが確認されました。
これには、腸内細菌が作り出す「フェノール化合物」という成分が関わっている可能性があります。
この記事を読んでわかること
- オートミールの摂取で、コレステロール値が下がる傾向が見られた
- コレステロールの変化には、腸内細菌が作る「フェノール化合物」が関わっている可能性がある
- 摂取量や期間によって、効果に違いがあった
本記事は、科学的知見や専門家の知見、研究データの紹介を目的としており、医学的アドバイスではありません。
診断や治療については、必ず専門医にご相談ください。
また、本記事は執筆時点の情報をもとに作成しています。最新の情報については、必ずご自身でご確認ください。
用語解説
オーツ麦(えん麦)を潰したり挽いたりして加工した食品です。今回の研究で使われたのは、オーツ麦をローラーで平たく伸ばした「ロールドオーツ」と呼ばれるタイプです。
内臓の周りに脂肪がたまる「内臓脂肪型肥満」に、高血圧・高血糖・脂質異常などが重なった状態のことです。放っておくと、糖尿病や心臓の病気につながりやすいとされています。
ポリフェノールの一種で、オートミールなどの穀物に含まれています。ジヒドロフェルラ酸は、フェルラ酸が腸内細菌によって分解されてできる成分です。
植物に含まれる、抗酸化作用などを持つ成分の総称です。オートミールにも複数の種類が含まれており、腸内細菌によってさらに分解されることがあります。
オートミールなどに含まれる水溶性の食物繊維の一種です。コレステロールを下げる働きがあるとされ、これまでオートミールの健康効果の主な理由と考えられてきました。
公開日:2026年1月14日
掲載誌:Nature Communications
論文:「 Cholesterol-lowering effects of oats induced by microbially produced phenolic metabolites in metabolic syndrome: a randomized controlled trial 」

著者:SHO|鍼灸師
豪華客船の専属鍼灸師として、40ヶ国160都市以上を巡り、世界中のクライアントを治療してきた経験を持つ治療家。
オートミールの効果は、食物繊維だけで説明できるのか
オートミールにコレステロール値を下げる効果があることは、20世紀初頭にドイツの糖尿病学者カール・フォン・ノールデンが考案した「オートミール療法」をきっかけに知られるようになりました。
これまでは、その効果はオートミールに含まれる水溶性食物繊維「β-グルカン」にあると考えられてきました。
しかし、近年では、腸内細菌がオートミールを分解する過程で作り出す「フェノール化合物」も関わっている可能性が、指摘されるようになりました。
そこで研究チームは、メタボリックシンドロームのある成人を対象に、オートミールを2日間集中的に摂取する方法と、6週間かけて1日1食をオートミールに置き換える方法を比較することで、コレステロールや腸内細菌に与える影響を調査しました。
6週間続けても、2日間で集中して食べるほどの変化は見られなかった
研究の結果、2日間集中的に摂取する方法では、LDLコレステロールや総コレステロールともに、下がる傾向が確認されました。
ここで興味深いのは、オートミールをやめて普段の食事に戻した後も、6週間にわたり数値が継続されていたことです。
また、2日間集中して食べた人の血液検査では、腸内細菌がオートミールを分解して作る「フェノール化合物」の一種である「ジヒドロフェルラ酸(DHFA)」が増えていました。
さらに、ヒトの細胞を使った実験で、ジヒドロフェルラ酸を加えると、コレステロールの吸収率が実際に減少することも確認されています。
ただし、小規模な臨床研究での結果であるため、すべての人に同じような効果があるとは限りません。
コレステロールを下げていたのは、腸内細菌が作る「化合物」だった
今回の研究では、オートミールがコレステロール値を下げる仕組みは、食物繊維(β-グルカン)だけではなく、腸内細菌がオートミールを分解して作り出す「フェノール化合物」が関係している可能性が示されました。
そして、短期間にまとめて食べた方が効果が出たことは、オートミールの量や食べ方によって、腸内細菌に与える影響が変わる可能性を示しています。
ただし、今回確認されたのは、あくまで特定の摂取方法における一つの結果であり、日々の食生活にそのまま当てはめられるとは限りません。
▼ 関連知識 ▼
海外論文の検索方法|一次情報へアクセスする4ステップ
SNSに真偽の定かでない健康情報が溢れる現代。海外の一次情報(論文)にアクセスし、その信頼性を見極める4ステップを解説します。流れてくる情報を待つのではなく、翻訳機能やデータベースの活用法を学び、自ら読み解くスキルを身につけましょう。
※本記事は、国際的な学術誌『Nature Communications』に掲載された海外の査読済み論文および一次研究データに基づき、科学的エビデンスを確認した上で執筆されています。
詳しい調査方法が気になる方は、こちらもご覧ください
実施期間:2020年9月〜2022年7月
対象:メタボリックシンドロームのある白人系成人男女68人(45〜70歳 / BMI27.0〜39.9)
除外:普段オートミールを週1食以上食べる人
試験デザイン:2件の無作為化比較試験(①2日間の高用量摂取、②6週間の中用量摂取)
①2日間試験:1日3食オートミール100g(β-グルカン13.5g)を摂取する群と、オートミールを含まない同カロリーの代替食を摂る群を比較(摂取後6週間は、通常の食事に戻して追跡調査)
②6週間試験:1日1食をオートミール80gに置き換える群と、普段の食事を取る群を比較
測定項目:血漿中フェルラ酸・DHFA濃度(主要) / 総コレステロール・LDL・HDL・中性脂肪 / 便サンプルによる腸内細菌叢 / 血液・便中の代謝物質
摂取の確認方法:血中アベナンスラミド濃度 / 配布パッケージの回収確認 / 毎日のチェックリストへの自己記録
研究機関:ドイツ・ボン大学
資金提供元:Diet–Body–Brain(DietBB)・ドイツ研究振興協会(DFG)・ドイツ糖尿病学会(DDG)・ドイツ穀物加工・製粉・デンプン工業協会(VGMS)・RASO Naturprodukte
利益相反:著者らは利益相反がないことを申告しています





