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「日焼けマシンの方が、日光よりも安全に日焼けができる」と考えている人も多いのではないでしょうか。
しかし、日焼けマシンで焼いた肌と、日光で焼いた肌とでは何が違うのでしょうか?
ノースウェスタン大学とカリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)の研究では、日焼けマシンの使用回数によっては、メラノーマ(悪性黒色腫)の診断を受ける割合が高くなり、メラノサイトの変異数が約2倍になることが確認されました。
この記事を読んでわかること
- 日焼けマシンの使用回数によっては、メラノーマ(悪性黒色腫)の診断を受ける割合が高かった
- メラノサイト(色素細胞)の変異数は、日光を浴びにくい下背部で約2.5倍になることが確認された
- 日焼けマシンの使用歴は自己申告のため、因果関係までは確認されていない
本記事は、科学的知見や専門家の知見、研究データの紹介を目的としており、医学的アドバイスではありません。
診断や治療については、必ず専門医にご相談ください。
また、本記事は執筆時点の情報をもとに作成しています。最新の情報については、必ずご自身でご確認ください。
用語解説
皮膚の色素細胞である「メラノサイト」が、がん化してできる皮膚がんの一種です。「ほくろのがん」とも呼ばれ、悪性度が高く、進行すると内臓などに転移しやすいとされています。紫外線による日焼けなどでDNAが損傷し、メラノサイトに変異が起こることが、発生の要因の1つとされています。
皮膚や毛髪などに存在し、シミや日焼けの原因となるメラニン色素を産生する細胞(色素細胞)を指します。紫外線を浴びると、メラニンの生成が促され、皮膚が黒くなると言われています。
集団を対象に、病気の発生の頻度や分布を調べ、その要因を明らかにする方法です。病気とその要因の関係を証明するために、要因を人為的に変える介入研究と、介入せず対象者の通常の生活を調査・観察する観察研究があります。
細胞の設計図にあたる遺伝子(DNA)の情報が、もとの形から変わることを指します。
がんの発生や増殖、進行に直接的な原因として関与する遺伝子変異のことです。肺がんの「EGFR変異」や「ALK融合遺伝子」、大腸がんの「KRAS変異」などがよく知られています。

著者:SHO|鍼灸師
豪華客船の専属鍼灸師として、40ヶ国160都市以上を巡り、世界中のクライアントを治療してきた経験を持つ治療家。
日焼けマシンを使った人の「肌の変化」を、遺伝子解析で読み解く
日焼けによる肌の変化は、日焼けマシンを使った場合も日光を浴びた場合も、「紫外線」によって皮膚に急性の炎症が起きることで生じると言われています。
ただし、日焼けをした後に、肌の色が同じように見えても、紫外線を浴びた皮膚細胞に起きた変化は、色からは読み取れません。
さらに、メラノーマは、皮膚の色素細胞であるメラノサイトの遺伝子に、紫外線による変異が積み重なって生じるとされています。
つまり、メラノサイトの遺伝子変異の数を調べれば、肌の色では分からない皮膚の変化を、数値として読み取れます。
そこで研究チームは、日焼けマシンを使用した経験がある人を対象に、皮膚からメラノサイト(色素細胞)を採取して、皮膚細胞の「遺伝子変異」を調べました。
衣服で隠れているはずの背中に「細胞の変異」が多く見られた
病院の記録を使った疫学解析の結果、日焼けマシンを10回以上使った患者では、メラノーマ(悪性黒色腫)と診断される割合が約2.4倍も高くなっており、メラノーマができた部位のうち、76.1%が日光を浴びにくい部位に見られました。
また、日焼けマシンを50回以上使ってきた人を対象に、皮膚細胞の遺伝子解析を実施した結果、メラノサイト(色素細胞)の変異数が約2倍になっており、下背部では約2.5倍(上背部で約1.9倍)の変異が確認されました。
さらに、メラノーマの発生に関わるとされる「ドライバー変異」の割合も、約3倍になっていたことが確認されています。
ただし、日焼けマシンの使用歴は自己申告のため、因果関係までは確認されていません。
肌の色が同じでも、皮膚の変化が同じとは限らない
今回の解析では、日焼けマシンを10回以上使用した場合でも、メラノーマ(悪性黒色腫)と診断される割合が高くなり、50回以上になると、メラノサイト(色素細胞)の変異数が約2倍になっていたことが確認されました。
さらに、使用回数が増えるほど、通常は日光を浴びにくい下背部に、より多くのメラノサイトの変異が見られました。
つまり、これらの結果から、日焼けマシンを使用することで、衣服で隠れているはずの部位にも、紫外線によるメラノサイトの変異が起きることで、メラノーマの発症につながっていた可能性があります。
ただし、日光で焼いた肌と直接比べた研究ではなく、使用歴も本人の申告に基づくため、日光との違いや、日焼けマシンとメラノーマの因果関係までは確認されていません。
それでも、「日焼けマシンの方が、日光よりも安全に日焼けができる」という見方を、皮膚の変化から問い直す手がかりになるでしょう。
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※本記事は、国際的な学術誌『Science Advances』に掲載された海外の査読済み論文および一次研究データに基づき、科学的エビデンスを確認した上で執筆されています。
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疫学解析
期間:2019年より前の受診記録(調査期間の記載なし)
実施場所:ノースウェスタン大学皮膚科
対象:ノースウェスタン大学皮膚科の患者32,315人のうち、日焼けマシンの使用回数を数値で把握できた2,932人(使用群) / 使用歴なしの24,841人から年齢を揃えて無作為に選んだ2,925人(比較群)
条件:18〜70歳 / 使用回数は10回以上で「使用あり」 / 使用回数が1〜9回と回数不明は「除外」
性別(使用群 / 比較群):女性87.7% / 57%、男性12.3% / 43%
測定手法:自己申告のデータを病院のデータベース(EDW)から抽出 / 年齢・性別・メラノーマの家族歴や日焼けの既往歴を調整した回帰分析
部位の分類:日光を浴びやすい部位は「顔・頭・首・肘から先の腕・膝から下の脚」 / 日光を浴びにくい部位は「二の腕・胴体の前後・太もも」
メラノーマの診断割合:使用群5.1% / 比較群2.1%
日光を浴びにくい部位のメラノーマの割合:使用群76.1% / 比較群61.2%
日焼けの既往歴:使用群71.2% / 比較群50.3%
メラノーマの家族歴:使用群18.1% / 比較群16.8%
遺伝子解析
期間:調査期間の記載なし
実施場所:ノースウェスタン大学皮膚科とカリフォルニア大学サンフランシスコ校 / カリフォルニア大学サンフランシスコ校(献体プログラム)
対象:日焼けマシンを使ってきた人11人(使用群 / 50〜750回以上 / 平均43.6歳 / 女性が多い) / 皮膚科外来の患者9人(比較群 / 日焼けマシンの使用歴なし / 自己申告 / 年齢・性別・皮膚がんのリスク要因を統一) / 献体6人(比較群 / 平均78.3歳 / 日焼けマシンの使用歴は不明)
メラノーマの診断歴:使用群100% / 外来の比較群33.3%
採取部位:背中(上背部・下背部)から3〜5mmのシェーブ生検
測定手法:メラノサイトのクローン培養 / DNAとRNAの増幅 / エクソーム解析 / トランスクリプトーム解析
解析数:細胞182個(使用群61個 / 比較群121個)
変異数の比較方法:線形混合効果モデル / ロバスト線形混合効果モデル
変異数(mut/Mb):全体 5.69 / 上背部 8.82 / 下背部 5.19(使用群 )、全体 2.86 / 上背部 4.60 / 下背部 2.05(比較群)
ドライバー変異の割合:全体 23.0% / 上背部 57.9% / 下背部 7.1%(使用群)、全体 7.3% / 上背部 12.1% / 下背部 1.8%(比較群)
研究機関:ノースウェスタン大学(米国) / カリフォルニア大学サンフランシスコ校(米国) / カリフォルニア大学サンディエゴ校 / モフィットがんセンター / チューリッヒ大学
資金提供元:米国国立衛生研究所(NIH)の国立がん研究所 / NIHの国立関節炎・筋骨格・皮膚疾患研究所 / 米国防総省 Melanoma Research Program / Melanoma Research Alliance / LEO Foundation / IDP Foundation / Greg and Anna Brown Family Foundation
利益相反:著者らは利益相反がないことを開示しています。






