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生命活動に必要不可欠な「睡眠」は、脳と身体の周期システムの連動によって成り立っています。
本記事は、国や公的機関(厚生労働省など)が提示する厳格なデータに基づき、「睡眠」の定義、レム睡眠・ノンレム睡眠の分類、および体内時計のメカニズムを整理したものです。
この記事を読んでわかること
- 公的機関の基準に基づく「睡眠の定義と数値基準」
- 医学的な根拠に基づく「ノンレム睡眠・レム睡眠の分類」
- 人体の中で起こっている「体内時計のメカニズム」
※本記事は公的機関のデータや科学的エビデンスの紹介を目的としており、医学的アドバイスではありません。診断や治療については必ず専門医にご相談ください。
また、本記事は執筆時点の情報をもとに作成しています。最新の情報については、必ずご自身でご確認ください。
睡眠の定義
睡眠は、厚生労働省や日本睡眠学会などの公的機関において、人生の約3分の1を占め、心身の疲労回復、記憶の整理や定着、免疫機能の維持に必要不可欠な生命維持活動として定義されています。
これは、単なる身体活動の休止ではなく、脳と身体の休息とメンテナンスを行うために、意識レベルが一時的に低下し、外部の刺激に対する反応が鈍くなる状態を指します。
睡眠の数値基準
適切な睡眠時間には個人差がありますが、厚生労働省が提示する指標において、睡眠時間の基準値は以下のように定められています。
適切な睡眠時間の目安
- 小学生:9〜12時間
- 中高校生:8〜10時間
- 成人:6時間以上
▶︎季節による変動と個人差について
睡眠時間は日照時間の影響を受け、冬季には10~40分程度、長くなる傾向があります。
また、必要な睡眠時間には個人差があり、体質や持病によっても最適な時間は異なります。
たとえば、10時間以上の睡眠を必要とする「ロングスリーパー」と呼ばれる人も一定数存在するため、一律に基準へ当てはめるのではなく、個々の状態に合わせることが重要です。
睡眠データの測定環境
睡眠の状態を評価する指標には、測定する環境や条件によって「客観的データ」と「主観的データ」の違いが生じることがあります。
公的ガイドライン等では、それぞれの測定環境について以下のように定義されています。
医療機関や専門の測定施設において脳波、眼球運動、筋電図などを同時に記録し、睡眠の深さや質を数値として測定することを指します。
質問用紙や睡眠日誌などを用いて、個人の自覚症状や睡眠の質を記録することを指します。
睡眠の分類
医学的な根拠に基づくと、睡眠は脳波の特性や身体活動の状態によって、大きく2つの分類に分けることができます。
ノンレム睡眠とレム睡眠
睡眠は、閉じた瞼(まぶた)の下で眼球が素早く動く「急速眼球運動」の有無によって、以下の2つの状態に分類されます。
急速眼球運動を伴わない睡眠状態です。
この状態では、脳が休息し、深い眠りへと入っていきます。
また、脳や身体の疲労回復や、成長ホルモンの分泌による細胞の修復などを担っています。
急速眼球運動を伴う睡眠状態です。
この状態では、身体は休んでいますが、脳は活動しています。
また、鮮明な夢を見やすいとされ、記憶の整理や定着に関わっていると考えられています。
睡眠段階の特徴

厚生労働省などの公的機関において、ノンレム睡眠とレム睡眠は、眠りの深さと質によって「睡眠段階」が定められています。
また、ノンレム睡眠は脳波の深さに応じて、ステージ1からステージ3までの階層に分類されます。
睡眠周期の割合

成人の睡眠周期において、各睡眠状態が占める割合は以下の通りです。
ノンレム睡眠:約75%から80%
レム睡眠:約20%から25%
入眠直後に最も深いノンレム睡眠が現れ、その後は約90分から120分の周期で一晩に4~5回繰り返されます。
このように、ノンレム睡眠とレム睡眠が交互に繰り返される「周期システム」が確立されています。
睡眠のメカニズム
私たちが毎日ほぼ同じ時刻に眠り、自然と目を覚ますことができるのは、身体の中にある「概日リズム」と呼ばれる周期システムが備わっているからです。
概日リズム(サーカディアンリズム)

人間の身体には、睡眠や目覚めだけでなく、血圧・体温・代謝・ホルモン分泌などの生体機能をコントロールする約24時間周期のリズムがあります。
このリズムを生み出しているのが、脳の視交叉上核(しこうさじょうかく)という部分にある体内時計です。
細胞内にある時計遺伝子が働くことによって、時間の経過が分からない環境にいても、約24時間のリズムが規則正しく現れるようになっています。
体内時計の周期
実は、人間の体内時計の周期は24時間ちょうどではありません。
公的な研究データによると、日本人の平均的な周期は24時間10分前後であり、地球の1日よりも若干長いことが分かっています。
この少しのズレを放置してしまうと、寝起きする時刻が毎日少しずつ後ろにずれていってしまいます。
そのため、私たちは毎日、体内時計の時刻合わせ(リセット)を行う必要があります。
また、体内時計の周期が生まれつき長い人は夜型になりやすく、短い人は朝型になりやすいといった個人差も存在します。
光による同調システム

体内時計の時刻調節において、最も重要な役割を果たすのが環境光です。
朝起きて目に光が入ると、その刺激が網膜から脳の体内時計へと伝わり、時間のズレが修正されます。
このとき、脳内では睡眠を促すホルモンである「メラトニン」の分泌が抑制され、身体が活動モードに切り替わります。
光を浴びるタイミングによって、体内時計は以下のように変化します。
- 明け方からお昼頃までに光を浴びる:体内時計が前倒しされ、早寝早起き(朝型)の方向へ調整されます。
- 夕方過ぎから深夜にかけて光を浴びる:体内時計が後ろにずれ込み、夜更かし(夜型)の方向へ変化します。
人間の身体は、朝に光を浴びることで、遅れがちな体内時計を日々リセットし、24時間のリズムに合わせています。
何らかの原因でこの体内時計の機能がうまく働かなかったり、光による時刻調整ができなかったりすると、睡眠リズムが大きく乱れて社会生活に影響を及ぼす「概日リズム睡眠・覚醒障害」につながることがあります。
睡眠の統計データ
厚生労働省が策定した「健康づくりのための睡眠ガイド2023」などの公的指針では、睡眠の統計データに関して以下のように報告されています。
労働世代の睡眠時間における現状
令和元年の国民健康・栄養調査の結果によると、現在の日本における労働世代(20~59歳)の各世代において、睡眠時間が6時間未満の人が全体の約35~50%を占めているという統計データが示されています。
さらに、睡眠時間が5時間未満の人に限定した場合でも、約5~12%と高い割合にのぼっており、現代の社会構造における一つの実態として位置づけられています。
高齢世代における生活データの傾向
高齢世代のライフスタイルにおける統計を見ると、成人(40歳~60歳未満)の世代に比べて、
寝床にいる時間(床上時間)が長くなる傾向がデータとして現れています。
加齢に伴う生理的な変化や、日中の活動量の減少、それに伴う30分以上の昼寝の習慣化など、世代特有の生活習慣が統計調査によって報告されています。
総括
- 睡眠は、疲労回復や免疫維持に関わる生命維持活動であり、適切な睡眠時間には個人差がある。
- 睡眠の状態を評価する指標には、医療機関などで測定する「客観的測定」と個人の自覚症状をもとに計測する「主観的測定」に分類される。
- 睡眠の状態は、脳波や身体活動に基づきノンレム睡眠(約75~80%)とレム睡眠(約20~25%)に分類され、約90~120分の周期を一晩に4~5回繰り返す。
- 睡眠の周期は、脳の視交叉上核にある体内時計(平均24時間10分前後)により制御され、朝の環境光による同調システムを介して地球の24時間周期へと日々調整される。
※本記事は、厚生労働省などの公的機関および、専門学会が策定した各種ガイドラインに基づき、科学的エビデンスを確認した上で執筆されています。


